今回は前回の記事 → ティア2012年決算分析2 に続いて利益の背景を見ていきます。
ティアの業績は下記グラフの通り順調に伸びています。
利益が徐々に売上に追い付き、2012年実績では売上の折れ線グラフを追い越しています。これは営業利益率が10%を超えたということを表しています。
ティアのビジネスモデルは葬儀会館をドミナント展開していくことなので、葬儀会館への投資が先行し借入金が必要になってきます。そのため支払金利も加味した経常利益率の推移も見てみます。
上記グラフの通り上場した2006年は新規公開費用なども発生し、一時的に利益率が低下していますが、2007年以降は上昇傾向が続いています。2010年はカンブリア宮殿バブルで利益率が大幅に伸び、翌年はその反動が出ています。ティアの経常利益率目標は10%だったので、ほぼ目標圏に達しています。
2013年の計画は利益率の低下を見込んでいますが、ティアは毎年計画値は前年の利益率を下回る保守的な見通しを出してくる会社なので、あまり心配する必要はないと思います。利益率低下要因としては、関東圏への進出が本格化することで広い意味での先行投資が発生することくらいだと思います。
過去の期首発表の会社計画値と実績を比較すると下記の通りとなります。
売上についてはけっこうアグレッシブな計画を発表し、未達となる年もあります。これは葬儀単価が想定以上に下がった影響や、既存会館の伸びが会社計画を下回った年もありました。
一方で経常利益はほぼ計画を上回って着地しています。
これは前期の実績と今期の目標を比べれば一目瞭然ですが、ほぼ前年実績並みという保守的な利益計画になっているためです。このため過去のティアの決算発表では、来期の計画を見て成長が止まったと判断され、決算発表毎に売られるという展開が続きました(^_^;)
もうさすがに皆さんもご理解頂けているとは思いますが(笑) 売上計画はアグレッシブで利益計画は保守的なことから、結果として予想利益率は前年実績を下回ることになります。これらの過去の傾向から見て、今期の経常利益率の低下も同じ要因だろうと考えるのが適当だと考えています。
営業利益を分析するためには売上原価率の推移と販管費率の推移が重要になります。
上記グラフで売上原価率は左軸、販管費率は右軸になります。
売上の7割近くが原価であり、2割前後が販管費となっています。
原価は葬儀会館で葬儀を行うのに必要な経費が中心となるので、変動費的な位置付けになります。現場の社員数など固定費的なものもありますが、花や料理など売上に比例する費用の割合が高いと思います。
販管費は本社の人件費を含めた経費や広告宣伝費などで、固定費的な費用が中心です。
グラフの推移を見ると対照的な動きをしていて、売上原価率は一貫して低下しているのに対し、販管費率は一貫して上昇しています。
原価率が低下しているのは、葬儀件数の増加により仕入ボリュームも増加し、コストダウンが進んでいる影響ですし、人件費や光熱費などの固定的な部分の割合が下がってくるためだと思います。
一方販管費率が上昇を続けているのは少し不思議な感じがします。販管費は固定的な費用が多いので、一般的には売上が伸びると販管費率は低下していきます。売上が伸びているのに販管費率が高くなるということは、売上の伸び以上に販管費が伸びているということです。販管費については細かい内訳が開示されていないのでよく分かりませんが、2005年と2012年を比べると販管費率は5.9ポイント上昇しています。このうち給与手当が1.8ポイント、広告宣伝費が0.8ポイント、役員報酬が0.7ポイント上昇しています。
上場当時は本社人員も最小限でしたが、事業拡大に備えて本社人員を増強したり、宣伝活動も積極化してきたためだと思われますが、そろそろ販管費も横ばいから低下に転じても良さそうに感じます。ただ今期は関東進出などで広告費や関東本部の人員増強など販管費増加要因も織り込んでいるものと思われます。これらが一段落する来期くらいからは販管費も低下し、さらに利益率の改善を期待したいですね!
次に効率性の指標推移を見てみます。下記のグラフはROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表したものです。2013年は推定値です。
ROAは緩やかに上昇していますが、5%前後で安定しています。ティアは成長中の会社であり、葬儀会館の新設など設備投資が先行することから、総資産と売上がほぼ同じように伸びています。一方で利益率は設備投資を行いながらも徐々に向上しているので、ROAも徐々に上昇しています。
ROEは借入金の比率も高いことから18%前後で推移しています。株主資本比率が向上し自己資本が増加する中でROEを維持しているのは素晴らしいですね!
前期は久し振りの増配となりましたが、自己資本もかなり充実してきたので今後も増配などの株主還元が期待できる財務体質になってきたと感じます。
ここまで3回に渡って年ベースの業績推移を見てきましたが、収益性も向上し財務体質も強化され、年々良い会社になっていることが分かります。安定成長を続ける会社は安心して長期投資できますね!
次回は四半期ごとの業績推移を分析してみます。
ティア2012年決算分析4 分析完了!
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タグ:ティア2012年決算分析