2010年11月18日

だから、葬式は必要だ。

先日参加したティア岡崎北のオープン見学会ですが、花輪を見ていて何点か気になったことがありました。その1つがこちらです バッド(下向き矢印) 名古屋特殊自動車株式会社 取締役社長の一柳鎨(はじめ)氏です。それにしても難しい名前ですね。
ティア岡崎北
名古屋特殊自動車は名古屋市内の葬儀会社が出資して設立された、霊柩車運送を行っている会社です。たぶん歴史ある由緒正しい葬儀会社のみが出資しているんでしょうね。
一柳鎨氏が書いたのが、タイトルの『だから、葬式は必要だ。』です。
      
同じく幻冬舎から発売された島田裕巳氏の『葬式は、要らない』への一柳葬具總本店社長としての反論的なタイトルの本です。しかし中身を読んでみると、葬儀の必要性に触れた部分は一部であり、主な主張はバブル崩壊以降に新規参入してきた葬儀会社への痛烈な批判になっています。老舗の意地という見方もできますが、それだけ追い詰められているのかな?という危機感も感じます。
『葬式は、要らない』はまだ読んでいないんですが、この本が発売されて以降、葬儀業界関係者から反論などの出版が相次いでいます。それだけ波紋を呼んだ本なので、近いうちに読んでみたいと思っています。
同じ出版社からこのような2冊が発売されるのは、注目が集まっている葬儀ネタで話題を盛り上げたくさん売ろうexclamation×2という魂胆が見え見えですね。そんな幻冬舎もMBOで上場廃止になってしまいます。
株主総会に出席して見城徹社長に、「社長はお葬式は要らないと思っているんですか、それとも必要だ!と思っているんですか?はっきりしてくださいひらめき」と聞く機会もなくなってしまいましたわーい(嬉しい顔)
葬儀が要らないか、必要かは別の機会にして、今回はこの本『だから、葬式は必要だ。』の内容について感じたことを書いてみたいと思います。
すでに物理教師さんが2010年07月05日に記事にしています。こちらもぜひご覧ください。
 次項有 「だから、葬式は必要だ。− 弔いびとが葬儀業界の真実を語る」はかっこ悪い

一柳葬具總本店は自ら言及している通り、133年の歴史を持つ名古屋の由緒ある葬儀会社です。宮大工の初代が葬具の製作を始めたところから葬儀の請負にまで発展してきたので、祭壇などの葬具に対するこだわりは強いでしょうし、葬具にもっと注目が集まってほしい、葬具をもっと使ってほしいというメッセージが強く伝わってきます。副題は「弔いびとが葬儀業界の真実を語る」となっていますが、私の感想では真実を語っているように感じませんでした。
「バブル崩壊以降、低価格を全面に出した新規参入企業が増えて、葬儀業界はおかしくなってしまった。それまでは心ある葬儀社が本来の葬儀を提供していた」という内容が繰り返し出てきますが、私は昔の方がもっと問題があったのではないかと感じます。新規参入が増えたことで問題になっている部分もあるでしょうが、新規参入があったからこそ葬儀に対する関心も高まり、葬儀の内容や価格に対する透明性も向上し、葬祭業界がサービス業としてのふつうの状態に近付いてきていると思います。
ですから22ページの
葬儀業界は本来、人のために尽くすことを主目的とした人々の集まりでした。非常に難しい仕事を立派にこなしているという誇りが、葬儀業界に携わる人々を支えてきたともいえるでしょう。そうした業界が、バブル崩壊以降、葬儀を効率と利益優先で考える新規参入業者によって、いま崩壊しようとしています
という一方的な主張には違和感を感じてしまいます。この主張の通りであるとするなら、バブル崩壊前までは葬儀に不満を感じる消費者はほとんどいなくて、多くの人は価格も含めて葬儀に満足していたということになります。しかし病院や警察に出入りして、死体売買とまで言われたような業界については全く触れず「人のために尽くすことを主目的とした人々の集まりでした」と言い切っているところに疑問を感じますね。
「葬儀を効率と利益優先で考える新規参入業者」のせいで、葬儀業界も価格破壊が進んでいることを嘆いていますが、裏を返せばそれまでは高価格の葬儀が一般的だったということになります。それでももし不満の声が少なかったとしたら、それは葬儀についての情報提供があまりにも少なかったので、不満の感じようがなかっただけなのではないでしょうか?決して消費者が満足していたわけではないと思います。なんかおかしいな〜葬儀価格が高くて困ったな〜と感じつつも、お葬式について不満を言ったり値引き交渉をするのは不謹慎だというような雰囲気作りをされてしまい、言い出せなかった人が多くいたのだと思います。
だからこそ「葬儀を効率と利益優先で考える新規参入業者」にシェアを奪われてしまったのだと思います。消費者はそんなに馬鹿ではありません。お葬式についての情報が増えれば、自分達で比較検討して、身の丈にあった・希望に沿った葬儀を行うと思います。本を出版して嘆かなくてはいけないくらいにシェアを取られたこと自体が、バブル崩壊前の葬儀業者が本当は支持されていなかった、消費者の要望に応えられていなかったという証拠になるのではないかと感じます。

もとが葬具屋さんなので宗教者とも関係が深く、宗教者と葬儀会社が手を取り合って、伝統的な葬儀を行っていかないと日本の葬儀文化そのものがゆがめられてしまうという主張も、違和感を感じます。
価格も含めて不透明な葬儀業界になったのは、宗教界と葬儀会社両方に問題があったと感じています。お布施にしてもあえて価格を不透明にすることで、できるだけ高額を頂こうという意図もあったと思います。というか、イオンがお布施の目安を示したことに対して猛反発したことを見ると、今でも変わっていない人たちもいるようです。消費者が価格が不透明で困っていて不満にも感じているのに、「布施は言われて出すものではなく、出す人が額などを決めるもの」などという木で鼻をくくったような回答をしている全日本仏教会の姿勢にも大きな問題があると思います。そこまで言うなら、2日ほど読経に来てもらうだけなので時給換算して1〜2万円程度のお布施でも、感謝して受取ってもらえるのでしょうか。とてもそうは思えません。桁が違うと一蹴されそうです。
 次項有 【社説】全日本仏教会はイオンの「布施目安」掲載を邪魔するな も参考になります。


そんなわけで、「だから、葬式は必要だ。」を流れている昔は良かった的な内容は、葬儀会社から見ると良かったという自己満足であり、消費者はそうは思っていなかったと思います。
「2000年代ころから、小型の葬儀会館を多店舗展開する新規業者が現れ、徹底した効率経営で低価格を実現し、葬儀件数を集めることで急成長している」という新規参入の葬儀会社を執拗に批判していますが、名古屋でこの条件を満たすのはたぶんティアしかありません。名指しこそしていないものの、ティアを標的にして批判を展開しているように思えてなりません。
見積価格の不透明性についても49ページで、ある新規参入の葬儀会社は、100万円ほどの葬儀価格が会員になると半額の50万円ほどになると宣伝していて、二重価格ではないか?と批判しています。ティアのホームページによると、祭壇価格58万円の蒲公英(たんぽぽ)・アイリスプランだと、祭壇+基本祭壇まわりで一般価格は102.7万円のところ、ゴールド会員になると52.2万円になると書いてあります。割引率49%でありまさに本の中で指摘している通りです。ここからもティアが標的にされているなと感じます。

私から言い訳させていただきますと(あくまで1株主の考えですが)、ティアの一般価格は一柳氏が「葬儀業界は本来、人のために尽くすことを主目的とした人々の集まりでした」と言っている時代の、歴史ある葬儀会社の方々が、葬儀業界の都合で勝手に目安にしていた価格をベースにしています。つまり「バブル崩壊以降、参入してきた葬儀を効率と利益優先で考える」新規参入業者がいなければ、今でも目安としてまかり通っていたかもしれない葬儀価格です。価格を不透明にして暴利をむさぼっていた、旧来の葬儀業界へのアンチテーゼとして新規参入したティアにとって、旧来の価格とティアの打ち出した適正価格の間に、あまりにも差があることを分ってもらうために、敢えてこのような50%近い割引率を表示しているのだと思います。二重価格と批判する前に、このような高い価格で葬儀を消費者に押し付けていた業界の慣習を批判して欲しいものです。
さすがにティアと思われる新規参入業者を批判し続けてきたので、最後の最後で
いつしか、一柳は社葬専門葬儀社、一柳の葬儀は高い、といったイメージが先行するようになってしまいました」という反省の弁を述べていますが、その前文では
いつしか名古屋人の理想は、葬儀は覚王山日泰寺で一柳葬具總本店のコーディネートによって出す、とご当地本にまで紹介される、名古屋を代表する葬儀会社として認めていただけるようになりました」と、しっかりPRしています。
名古屋人の理想の葬儀会社であるなら、ここまで新規参入業者を批判しなくてもいいと感じますし、大人気ないように感じてしまいます。葬儀会館での葬儀が増えて、一柳葬具總本店が得意とする葬具の出番が少なくなっていることに、危機感を感じているように思えてなりません。
本の中でも宗派ごとに違う葬具の写真を掲載し、多種類揃えることを促してPRに努めています。
さらには「低価格で葬儀を提供するにはコストを抑える必要があり、葬儀に必要な祭壇、葬具、会館の椅子やテーブルといったものにはお金をかけず、投資コストを極力抑えている、運営コスト削減のために、徹底したマニュアル化でオペレーションの効率化に注力している」と批判しています。特に、宗教宗派にはあまりこだわらず、祭壇道具は数種類しか用意していない、祭壇は式場に備え付けて使い回すとまで書いていて、もっとたくさん祭壇道具を買って欲しいんだな〜という感じがしてしまいます。祭壇は使い回すのが普通ではないんですか?1回使ったら解体して捨ててしまうんですか?それなら祭壇もたくさん売れるでしょうが、エコの時代にそんなことを薦めるのは、時代のニーズに反しているんじゃないですか?
まあ1回1回解体しなさいと言いたいんでしょうけどね。

そもそも葬儀に祭壇や葬具は必要なのでしょうか?椅子やテーブルにお金をかけて、その分価格が高くなる葬儀を消費者が望んでいるのでしょうか?かなり時代錯誤的と言うか、消費者のニーズとかけ離れているように感じます。もちろん高価格で豪華な葬儀を希望する人もいますので、そういったニーズに応えることも大事ですが、一柳葬具總本店がそういった葬儀を目指すなら、ターゲットとする顧客層がまったく違っているんですから、低価格の葬儀会社を批判するのは筋違いのように感じます。逆に、ここはギリシャ神殿かexclamation×2というような豪華な葬儀会館を作り、高い葬儀価格を押し付けている葬儀会社を批判して欲しいものです。

そして何度も繰り返して自宅での葬儀を薦めていて、新規参入業者は自宅や寺院での葬儀を受け付けないと批判しています。ちなみにティアは自宅でも寺院でも集会所でも対応しています。特にここ1年ほど会社説明会でもそう強調しています。これは一柳さんの影響なのかもしれませんね。

確かに自宅での葬儀ができれば、喜ぶ故人も多いかもしれませんが、現実的には困難な環境になってきています。都会ではマンションなどに住んでいる人が多いですし、親族や弔問客用の駐車場の問題もあります。こういった環境変化のなかでも旧来型の伝統的な自宅での葬儀を薦めるのは、単に一柳葬具總本店が葬儀会館を2つしか持っていなくて、自宅や寺院での葬儀を得意としてきたからなのではないかと感じます。おわり部分で、「一柳葬具總本店は、いつの時代にも社会のニーズに合わせ、葬儀の新しい形を積極的に世の中に打ち出してきました」という部分と矛盾しているように感じます。自宅での葬儀を薦める意義は分りますし、故人や遺族が自宅での葬儀を希望して、実際にそれが可能ならその方がもちろんいいと思います。しかしそれが難しくなってきて、社会のニーズが会館葬に移ってきたのなら、「いつの時代にも社会のニーズに合わせる葬儀会社」であればそのニーズにいち早く対応して、今では名古屋で一番葬儀会館を持つ葬儀会社になっていてもおかしくないと思います。いまだに2会館しか持っていないということは、社会のニーズを読み違えているか、一柳葬具總本店の考えを頑なに消費者に押し付けているとしか思えません。
新規参入業者を批判する前に、自らの問題に気付き修正していくことが大事だと思います。葬儀をビジネスと捉えている会社が多いと批判していますが、葬儀は立派なサービスビジネスです。利益もきちんと出て、永続できるビジネスモデルを構築しないと、結局は会員の方々などお客様に迷惑をかけることになります。株式会社一柳葬具總本店はビジネスではなく営利は追求しないのであれば、株式会社よりNPO法人にでもなればいいと思います。
もちろん利益追求だけが目的の葬儀会社は困りますが、そんな会社は「新規参入が続き競争が激しくなった」いまの葬儀業界では生き残っていけないでしょう。消費者はしっかりと見ていると思います。ネットが普及して口コミもあっという間に広がりますからねexclamation×2


一柳葬具總本店には、他社を批判するより自らのポジションをしっかり見つめ直して、一柳葬具總本店らしい葬儀の提供に力を入れていって欲しいと思います。もちろん問題のある会社について批判することは大事ですが、価格が安くなって困るからとか、競争が激しくなって困るから他社を批判するというのでは、ますます消費者から見放されると思います。
名古屋人の理想であり、名古屋を代表する葬儀会社と言うのなら、競争など大歓迎だ!ぜひ当社と比較して欲しい手(チョキ)というくらいの心意気で頑張って欲しいものです。
まだまだ書きたいことはたくさんあるんですが(著名人を起用してテレビCMを始めたり、そこに社長が出ていたり、一柳の会員システムは20%引きになったりなど)、あまり批判が過ぎてもいけませんので、このくらいにしておきます。
私の感じる印象では、ティアと思われる新規参入企業のやり方を痛烈に批判しながら、一方では中途半端に真似しているような感じがしてしまいます。批判するなら己のやり方を貫く、社会のニーズに合わせるなら、他社を批判するのではなく他社の良い所は積極的に取り込む、そういった姿勢の方が潔いのではないでしょうか。
よきライバルとして、葬儀業界の地位向上のためにも正々堂々と競争して欲しいものです。
葬儀の予算をきちんと決めて、その範囲内で希望に沿った葬儀プランを考えてもらうなど、参考になることもたくさん書いてあるんですが、全体を流れる新規参入業者への批判トーンがどうしても気になってしまい、かなり長い記事になってしまいました。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この本は名古屋市図書館にもありますので、気になった方はぜひ読んでみてください。
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posted by Zaimax at 13:53 | Comment(2) | TrackBack(0) | 競合会社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは!
記事の紹介ありがとうございます。
それにしてもここまで強調している
「伝統的な」葬儀というのを
一度でいいから見てみたいです(^_^)
Posted by 物理教師 at 2010年11月18日 21:44
物理教師さん、いつも参考になる記事ありがとうございます。

自宅での「伝統的な」葬儀。たぶん熟練の技を駆使して飾りつけ、130年以上の歴史を感じさせる荘厳なお葬式になるんでしょうね!

お葬式にもいろんなニーズがあるんですから、低価格、適正価格、高級価格それぞれに対応した葬儀会社があってもいいはずです。価格以上に価値ある葬儀が行えて、皆が満足するならそれでいいと思います。
この本の感想を書き出したら、止まらなくなってしまいました(笑)
Posted by Zaimax at 2010年11月19日 01:39
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